マリー・アントワネット、イメージのメタモルフォーゼ 展

今年10月16日~2020年1月26日まで、パリ・コンシェルジュリーで開催される
マリー・アントワネットに関する大型企画展「MARIE-ANTOINETTE, MÉTAMORPHOSES D’UNE IMAGE」(マリー・アントワネット、イメージのメタモルフォーゼ 展)

マリー・アントワネットが最期の日々を送ったコンシェルジュリーで、一人の人物として、彼女に与えられた様々なイメージから読み解く展示会です。

展覧会開催にあたり、国立モニュメントセンター(コンシェルジュリーの管理団体で展覧会主催者)のPRご担当・エマニュエル・パルディニさんが来日され、プレスランチョンが開催されました。

フランスでは、マリー・アントワネットに対してのイメージは、ソフィア・コッポラ作品のビフォーアフターで変わったのだそう。

当時のフランスでは時流からはずれ、理解者の少なかった彼女ですが、死後、主に数年前から空想の世界では彼女のイメージが溢れかえっています。
マリー・アントワネットは歴史上の人物として、書籍や伝記、映画で最も多く語られ、コンテンポラリーアーティストによって最も多く表現され、家具または鏡、人形、漫画、小説、広告、ビデオゲームの中に最も多く利用されています。

日本では特に『ベルサイユのばら』人気がありますが、
2016年に六本木で開催された「ヴェルサイユ宮殿《監修》 マリー・アントワネット展」には、なんと30万人もの来場者があったようです。

なぜ、ここまでにイメージが広まったのでしょう?
この女王の運命が、現在でも多くのファンタズムを生み出す理由とは?
それは、虐げられ、不幸な運命を背負わされた女性の象徴だからに他ありません。
望みが全て叶うヨーロッパ最上位の階級に生まれながらも、独立した人生を過ごし、悲劇の運命をたどる政治的役割を与えられ、歴史の渦中に投げ込まれたマリー・アントワネットは、人々の心の琴線を大きく揺るがすのです。
これは女王に2つの顔を与えています。
現代で同情を誘う「可哀相なお金持ちの少女」としての顔、それと同時に、世間に相反する価値観を構築する「有名人」つまり、ペルソナとしての顔です。

当展覧会では、歴史的観点からだけでなく、世界中におけるマリー・アントワネットとキッチュな復活版の彼女の過剰なメディア化の比較や評論を通して、彼女を紹介、そしてその理解に努めます。


コンシエルジュリーで行われる展覧会は6部構成になっています。

●第1部:LA CONCIEGERIE コンシエルジュリー
マリー・アントワネットの人生で最も悲劇的な時期となる最後の数週間を過ごしたコンシエルジュリーという場所について

●第2部:LES HISTOIRES 歴史
彼女の人生における20の出来事を20の書籍から紹介

●第3部:L’IMAGE DE LA REINE 王妃のイメージ
マリー・アントワネットの姿はまさしく「イメージボード」であり、その時々の出来事や式典、文化的ニュース、流行のきっかけに応じて、王妃のイメージが形になっていきます。 エリザベス・ルイーズ・ヴィジェ・ルブランの描いた肖像画から始まり、その現代版のボテロによる肖像画、さらにピエール・エ・ジルや池田理代子氏の描いた肖像へと、世界中のアーティストが描いたマリー・アントワネットを紹介

●第4部:FÉTICHES DE REINE 王妃のフェティッシュ
王妃に対する盲目的な崇拝を理解するために、王妃に対する社会の関わり方について明らかにする展示
髪型、女性的な身体、斬られた首など…

●第5部:LES RETOURS DE LA REINE 王妃の復活
池田理代子氏のまんが「ベルサイユのばら」(のちにジャック・ドゥミが映画化)、アントニア・フレーザーの伝記「マリー・アントワネット・ザ・ジャーニー」、ソフィア・コッポラ監督の映画など、マリー・アントワネットは当時の、または今日の一人の若い女性として描かれ、新しい人物像となって復活。

●第6部:La consommation de la reine 商品化された王妃のイメージ
ここ20年のマリー・アントワネットの人物を取り上げたカルト的な執着が、グローバル化された脱近代主義の現象として起きていることを示します。
「ポップアートの大衆化」という形をとり、あらゆる分野、あらゆる消費形態、あらゆる国にてこのイメージが伝播していきます。


ただ単にマリー・アントワネット周辺の歴史上の出来事を羅列して並べるだけの展示でなく、第4部や第6部のように、当時から今日に於ける「人々が抱くマリー・アントワネットへのイメージ」が見られるのはとても興味深い展示だと思いました。
フランスではオランジーナやカルフールのCMで、日本だとGUのCMでローラがマリー・アントワネットに扮したり…時代のアイコンになるほど、人類の歴史上彼女は特別な存在なのだなあと。
波乱万丈でフィクション的な人生も惹かれる理由なのでしょう。


そして展示会をイメージしたデジュネもいただきました。

ヴェルサイユの王の菜園「le Potager du Roi」をイメージした菜園サラダ、新玉ねぎのスープをいただきました。
そしてマリー・アントワネットは牛・豚肉をあまり好まなかったとのことでメインは鶏肉。

実際は違うだろうけど…彼女のイメージカラーといえば、マカロンピンク!
シェフが一番気合いを入れたというデザートプレート「ジャルダン・ド・フルール」。
見た目がとても綺麗なのはもちろん、とても美味しい♡特にヴァシュランは絶品でした。



国立モニュメントセンターは、フランスの100以上の歴史遺産を扱っていて、年間400種類のイベント企画を実施し、1,020万人もの訪問者があるとのことで…
「C’est pas facile」と笑いながら仰ってましたが、いやいや普通ならパンクしちゃう。。

マリー・アントワネットの展示会は10月からなのですが、今回お話を伺っていたら今度7月に旅するときにもフランス中のさまざまな国立モニュメントセンターの取り扱う歴史遺産でイベントがあるようですので、行ってみようと思います。
今年は上野のコルビュジエ展がすごく楽しかったし、サヴォワ邸には行きたいな♡